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エバラ時報 No.183

3次元粘性流れ解析による斜流ポンプ段落の性能評価

 エバラ時報 No.183 p.3 後藤 彰 ほか
 数値流体力学(CFD)を用いて、ディフューザポンプ全体性能を予測する方法の信頼性を検討した。3次元ナビエ・ストークスコードの段落流れ解析版を用い、比速度400(m3/min、m、min-1)の2種類のポンプ段落の内部流れを数値解析した。ポンプ揚程・動力及び効率特性の予測結果は、実験的に得た性能特性とほぼ妥当な一致を示した。また、壁面流線については多色油膜法による可視化結果との比較を行い羽根車入口逆流の発達状況についてはピトー管による計測結果との比較を実施した。更に、解析結果の格子依存性についても検討し、特に過大流量域において精細な計算格子を用いる必要性を明らかにした。

圧電素子によるパッシブ制振

 エバラ時報 No.183 p.11 田納 雅人 ほか
 流体機械のインペラのような弾性体の制振技術として圧電素子と電気回路を用いたパッシブな方法を取り上げて、その制振性能について調べる。まず、単純なはりを対象に実験を行い、制振効果を確認するとともに、等価回路の概念を用いずに、単にエネルギー原理に基づいて系の運動方程式を導出し、その複素固有値を求めることで減衰を解析することを試みた結果について述べる。つぎに、この制振方法をインペラのような弾性ディスクへの適用を目的として、中心を固定した円板を対象に実験を行うとともに、強制振動において1周期にわたって抵抗で散逸されるエネルギーと最大運動エネルギーの比から解析的に減衰比を推定した結果について述べる。

AOP法による廃水の高度処理に関する研究

 エバラ時報 No.183 p.17 中川 創太 ほか
 生物難分解性有機物含有排水の処理を目的としてAOP法を検討した。最終処分場浸出水の生物処理水を原水としたラボスケール実験では、D-TOC処理性能は、O単独処理、UV単独処理よりも高く、分解性能は有機物の分子量に依存しないと推察される知見を得た。AOP法を利用した下水二次処理水の高度処理プロセスとして、BAF→AOPプロセスおよびAOP→BAFプロセスを検討したところ、AOP処理のCODMn処理性能はO3単独処理よりも高く、色度、臭気、大腸菌の処理性能は、いずれもBAF→AOPプロセスが優れていた。以上により、AOP法は下水の高度処理プロセスに応用可能と判断される。

流動床を用いたマンガン除去方法の開発

 エバラ時報 No.183 p.25 野村 淳一 ほか
 浄水排水処理工程の濃縮槽上澄水や脱水ろ液には数mg/lから数十mg/lの溶解性マンガンが含まれるため、マンガン除去が必要である。マンガン除去方法としてマンガン砂を流動媒体とする流動床マンガン除去方法の検討を行った。本方法は対象水のpHを調節することで溶解性マンガンを媒体表面に炭酸マンガンとして晶析除去するものであり、塩素を使用しないためトリハロメタンなどが発生しない。本方法の操作因子を検討するために実排水実験を行った結果、対象水の水温に合わせたpH調節により、10mg/l~25mg/lの溶解性マンガンを1mg/l以下に処理できることを確認した。

生物脱臭法による排ガス中のアセトアルデヒド除去の検討

 エバラ時報 No.183 p.33 塚本 敏男 ほか
 排ガス中のアセトアルデヒド除去について充填塔式生物脱臭法による実験を行った。その結果、アセトアルデヒド濃度15ppmのガスを対象に、アセトアルデヒド容積負荷0.4kg(m3・d)SV600h-1の条件で、アセトアルデヒド濃度0.2ppm以下まで安定して除去することが可能であった。しかし、長期間脱臭処理を継続すると充填層内で汚泥が増殖し、充填層の圧力損失の上昇が顕著であった。充填層に蓄積した汚泥の排出方法としては過酸化水素水による洗浄が有効であった。

微生物による水素生産システムに関する研究

 エバラ時報 No.183 p.38 片岡 直明 ほか
 エネルギー化回収型廃棄物処理技術として、嫌気性細菌と光合成細菌の2段反応による水素生産システムを検討した。嫌気性水素生産菌による可溶性でんぷんからの水素収率は1.4~2.3mol-H2/mol-グルコース換算、水素生産速度は1.8~2.8mol-H2/(g-菌体・h)であった。光合成細菌による酢酸、酪酸からの最大水素収率は各々0.24、0.29mol-H2/mol-有機酸、水素生産速度は0.15、0.13mmol-H2/(g-菌体・h)であった。システム全体での可溶性でん粉からの水素収率は1.6~5.9mol-H2/mol-グルコース換算と試算され、理論収率12mol-H2/mol-グルコースの13~49%に相当した。微生物の水素生産システムでは、光合成細菌による有機酸からの水素収率向上が鍵であると考えられた。

排熱投入形吸収冷温水機“ジェネリンク”

 エバラ時報 No.183 p.46 入江 智芳
 排熱投入形吸収冷温水機とは、ガスを燃料に用いる他に、コージェネレーションシステム(ガスエンジン等)から発生する排熱温水を有効に利用し冷房(暖房)を行う吸収冷温水機である。このたび、RCD吸収冷温水機の特殊仕様として、RCD排熱投入形吸収冷温水機“ジェネリンク”の開発を行った。性能面では排熱利用により、定格運転時の燃料消費量を10%削減することができる。機能面では、排熱温水を冷温水機側で取り込み、設備側の制御を不要としている。また、冷房の部分負荷時に排熱温水だけを加熱源として運転できる制御を取り入れることにより更に省エネルギーをはかった。

LCA事例紹介HzfreeポンプとMSポンプのLCAによる比較

 エバラ時報 No.183 p.59 金子 一彦 ほか
 LCA(ライフサイクルアセスメント)をポンプ機種に対して実施し結果を比較した。ポンプのライフサイクルにおける環境負荷は使用段階に起因するものが多く、駆動用電力の発電に端を発することがわかった。ポンプ製造による環境負荷はHzfreeポンプの方が小さい。これは軽量化及び環境負荷の大きい鋳鉄使用を避けられたためである。ライフサイクル全体を通して評価した結果、MSポンプに比べてHzfreeポンプの環境負荷は小さいことが分かった。これはインバータによる省エネルギー効果が功を奏した結果である。本報ではインベントリに加えて、インパクト評価例も掲載した。

タングステンCMPプロセス(CMPを用いた半導体のプラグ配線形成技術)

 エバラ時報 No.183 p.63 並木 計介 ほか
 半導体デバイスの集積度が上がるにつれ、露光技術の焦点深度のスペックが厳しくなり、露光前のデバイスの表面はより高い平坦度が求められている。このため、半導体製造工程においてCMP(ChemicalMechanicalPolisher)は欠かせぬ技術となっている。本稿では、プラグや配線の形成技術として使われているタングステンCMPのプロセスの現状について報告する。タングステンCMPは、従来の層間膜CMPとは多少ニーズが異なり、ディッシングやオキサイドエロージョン、スクラッチが評価のポイントとなる。これらは特に砥液の影響が支配的であり、砥液の選択は非常に重要である。

外郭放水路排水機場(第1報) —ポンプ設備工事の概要—

 エバラ時報 No.183 p.70 高部 哲男 ほか
 都市近郊の低平地地域における水防災対策として、近年、初期貯留機能並びに河川間連携による排水機能を備えた大深度地下放水路による排水システムの計画、施工が進められている。首都圏外郭放水路建設事業は日本最大級の地下放水路建設事業であり、その地下放水路に付随する排水機場に設置されるポンプも国内最大級のものとして位置付けられる。ここではその排水機場ポンプ設備工事の概要とそこに適用されている新技術について紹介する。

雁坂トンネル付帯設備

 エバラ時報 No.183 p.77 古谷 晃一 ほか
 日本有数の長大道路トンネルである雁坂トンネルに付帯設備を納入した。本納入設備は換気設備、通報・消火設備、動力受配電設備及び制御設備から構成され、通常時、火災時等の各運用ステージに応じた統括協調システムが構築されている。特に、長大対面交通トンネル運用に求められる通常時換気制御の安定性、火災時の迅速かつ的確な換気・防災設備の連携制御、機器故障が設備機能の全喪失とならないバックアップ運用施策と信頼性の向上といった目的を達成し、現在順調に運用されている。

荏原流動層技術の軌跡

 エバラ時報 No.183 p.82 大下 孝裕
 21世紀の廃棄物処理は、大きく変化する。一般的な廃棄物はダイオキシン対策と灰溶融を、自己熱で同時に達成できるガス化溶融技術が主流になり、プラスチック系混合ごみは、化学原料に転換するケミカルリサイクル技術、そして、高効率ごみ発電は発電効率30%以上の技術が要望される。一方、石炭の高効率発電においては、早期にCO2削減に貢献できる技術が要望される。以上の背景において廃棄物用技術と石炭用技術の21世紀のブレークスルーに流動層技術が重要な役割を持つが、単純なバブリング流動層や循環型流動層から脱皮した新しい発想の技術が必要になると考えている。本稿では、当社の流動層技術の軌跡と、今後の進化について紹介する。

荏原における環境マネジメントシステムとISO14001

 エバラ時報 No.183 p.85 埋田 基一
 ここ数年の世界と日本における環境問題を巡る状況は大きく変化している。企業のISO14001の日本国内における認定事業所数は、1998年11月末現在で1392件を超え、その急激な増加はISO9000の増え方を超える勢いである。1997年12月、日本中の関心を集めた地球温暖化防止京都会議の結論は、当社の環境マネジメントシステムとどうつながっているのか。環境ビジネスの積極的展開は環境マネジメントシステムとどうつなげて考えればよいのか。五つの事業所がISO14001の認定取得を終え、継続的改善を進めている当社として今後どのように環境マネジメントシステムを展開するのかを、今までの経過をふまえながら述べる。

流体音工学セミナー「第3回 乱流による広帯域音」

 エバラ時報 No.183 p.91 丸田 芳幸 ほか
 流体の非定常現象に伴って発生する音を制御したり、利用するための技術を解説する連載講座の第3回目である。乱流に伴って発生する広帯域流体騒音の制御方法を説明する。先に音波の周波数や波長及び音響インピーダンスなどの定義と、音波の干渉現象や拡散現象などを解説する。次に乱流音の代表として、「乱流境界層騒音、「はく離流れ音」、噴流音」の特性と制御方法を紹介する。境界層騒音のメカニズムとその特徴的スペクトルを示し、はく離流れ騒音の制御低減事例を示し、続いて噴流音の発生機構と低減制御事例を説明した。流れの乱れ構造のコヒーレンスがキーファクタである。