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エバラ時報 No.184

多色油膜法によるポンプ内部流れの可視化

 エバラ時報 No.184 p.3 勝俣 辰善 ほか
 三原色の蛍光粉末を顔料として用いる、多色油膜法を提案し、ポンプ内部流れの可視化に適用した、本可視化法によれば、流路壁面を複数色の油膜で塗り分けることにより、異なる色を有する油膜の挙動と、これらが混合して生じる中間色により、各種の2次流れの干渉や発生源を容易に把握することができる。適用事例として、比速度280(m3/min、m、min-1)のディフューザポンプにおける羽根車内部流れのフローパターン、羽根車入口逆流の初生前後におけるシュラウド内壁面の油膜パターン、ディフューザ・ハブ面上のはく離渦の挙動を示した。

高速浅底回流水槽の開発

 エバラ時報 No.184 p.10 平田 和也 ほか
 漕艇の練習が可能な開水路をもつ回流水槽を開発するために、数値解析及びモデル実験による検討を実施した。従来の回流水槽の開水路はほとんどの場合流速が遅く、水位が高い常流状態で運転される。一方、本回流水槽の開水路部においては、流速を実艇の平均速度とし、更にランニングコスト低減のため、水位をできるだけ低くする必要がある。その結果、開水路部が高速かつ浅底となり、射流状態での運転となるため、ポンプ吸込部での気泡の巻き込み、開水路での跳水現象などが問題となる、本論ではその解決法を報告する。

水圧アキシァルピストンモータのサーボ制御

 エバラ時報 No.184 p.17 望月 宣宏 ほか
 本報は当社で開発した水圧サーボ弁による水圧アキシァル斜板式ピストンモータのサーボ制御に関するものである。モータにより駆動される慣性負荷を制御対象として速度及び位置制御について検討した。水圧モータは従来の油圧モータとは若干異なる摩擦損失特性を示すものの、水圧サーボ弁により、良好な速度制御を実現できる。また、位置の連続経路制御による位置決め精度は、目標値が比較的大きな場合には良好な結果を示すものの、目標値が小さい場合には若干劣化した。この位置決め精度の目標値依存性が水圧モータの始動抵抗に起因することを示唆し、目標軌道の躍度を制限することで位置決め精度を改善できることを示した。

水車のハイドロ開発

 エバラ時報 No.184 p.24 萩野 光俊
 限られたエネルギーを有効に活用するため水力発電所毎に最も適した水車を開発し、顧客に提供することは、極めて重要なことである。しかし、水車の開発を行うために技術者の経験と試行錯誤による模型試験だけに頼っていては、開発期間及び開発費用が膨大なものとなる。流れ解析は、水力性能を改善するにあたり極めて有効な手段であることは良く知られた事実である。当社では、1992年から、水車の開発に3次元粘性流れ解析を採用してきた。ここでは、従来の約1/4の期間で水車の効率及びキャビテーション性能の改善を図った一例を紹介する。

UV/光電子法による生物粒子の除去 —空中浮遊菌の除去・殺菌—

 エバラ時報 No.184 p.28 藤井 敏昭 ほか
 近年、地球規模からクリーンルームまで空気質についての関心が高まってきた。室内空気中の微生物は、オフィスビルにおいてはアレルギーや不快臭、食品や医薬品工場においては製品の腐敗や不良、また病院においては院内感染の原因となるなどの様々な指摘がある。我々は、フィルタを用いない汚染物質(ガス状汚染物質、微粒子)除去の新規空気清浄方法として、UV/光電子法を提案し、本方法は半導体などの先端分野における局所空間の超クリーン化(ガスと粒子の同時除去)に効果的であることを明らかにしてきた。ここでは、本方法の空中浮遊菌除去への応用についてまとめた。

噴水設備のアオコ発生抑制効果確認実験

 エバラ時報 No.184 p.36 山岸 一雄 ほか
 近年、農業用ため池に植物プランクトンが多量に発生し、いわゆるアオコが水面を覆う状況が多く見られる。噴水設備のアオコ発生抑制効果について実験を行った。実験は、ため池内の一角を囲いで区切り、実験区、対照区及び系外の3箇所で水質データを比較した。その結果、対照区では表層水温が上昇し、アオコの発生が観察されたのに対し実験区では噴水のかくはん、循環効果によりアオコの顕著な発生は観察されず噴水の効果が確認できた。

海水中からの有用金属回収技術に関する研究(第2報)

 エバラ時報 No.184 p.41 菅野 淳一 ほか
 放射線グラフト重合法を応用した繊維状アミドキシム樹脂は海水中に溶存するウラン、バナジウムなどの有用希少金属を選択的に吸着することができる。この樹脂を利用した有用希少金属捕集システムの開発に参加し、開発の一環として樹脂の大量合成手法及び金属の溶離に関する検討を行った。大量合成した樹脂の実海域での捕集試験とパイロット規模のカラム式溶離装置を用いた溶離回収試験を実施し、樹脂のウラン吸着性能とカラム式での溶離特性を評価した。また、総ウラン回収量は溶離液中に溶存する形で約10.5gであった。

流動床焼却炉のモデル予測制御・ファジィ制御の開発

 エバラ時報 No.184 p.49 末松 健一 ほか
 都市ごみ用流動床焼却炉において、当社既存システムに付加する形で、二つの制御方法を開発した。一つめは、ボイラ出口蒸気圧力・流量変動安定化のためのモデル予測制御であり、ごみ投入に起因した20分程度の変動の低減をねらう。システム同定手法により求めた、プラント及び既存制御システムのARXモデルを基に定式化している。二つめは、日毎目標処理量達成の自動化をねらうファジィ制御であり、処理量・排ガス濃度に関わる諸変数から4項目の指数を導き出し、これを基に簡潔な推論システムを構成した。両制御共、実炉で運転を行い、有効性を確認した。

大形排水機場の振動解析

 エバラ時報 No.184 p.54 安西 英明 ほか
 公共事業費の縮減に向けて大形ポンプ設備のコンパクト化が要請されている。機場のコンパクト化やポンプの小形・高流速化に伴い、距離減衰の不足や流体加振力の増加などによる振動が増加することが予想される。このような振動問題を未然に防止するために、設計段階で機場の振動を予測する必要がある。本研究は、実在の機場を対象に有限要素法による振動伝搬特性の解析を試み、実測値と比較した。ポンプ停止時に行った加振実験で得られた伝達関数と比較し、環境振動で問題となる100Hz以下の周波数帯で比較的よい解析精度が得られることを明らかにした。

ポンプの省エネ診断システム

 エバラ時報 No.184 p.58 三宅 良男 ほか
 インバータによってポンプの性能を設備に「現合」させる。その省エネルギー効果は、当社「藤沢工場エコファクトリー計画」の中で行った、従来形ポンプをヘルツフリーポンプへ置き替えることによっても実証されている。この手法によって期待できる省エネルギー量の絶対値は個々の現場・設備によって千差万別である。そこで、既存ポンプにインバータを導入した場合の省エネルギー量を筒便に試算できるシステム(ソフト)を開発した。本システムによれば、期待できる省エネルギー量(電力削減量)を把握した上で設備投資を行えるため、インバータ実装ポンプへの置き替えや省エネルギーコントローラの設置を状況に応じて具体的に顧客に提案できる。

超小形消火ポンプユニットMDFU・MDFP型

 エバラ時報 No.184 p.66 清水 進 ほか
 消防庁告示第8号「加圧送水装置の基準」により消火ポンプの基準が改正された。そこで、有効水量50lの呼水槽、容量50lの圧力空気槽及びステンレス製多段渦巻ポンプMDPA・MDP型を採用し新基準に対応するとともに、デジタル流量計、電子制御盤などの開発を行い、当社独自の技術を盛り込んだ超小形消火ポンプユニットMDFU・MDFP型の製品化を実現した。今回開発された技術は、既存の消火ポンプユニットへの応用が可能であり、消火ポンプユニットの小形化・高機能化が期待できる。

風力発電システム

 エバラ時報 No.184 p.72 平山 淳 ほか
 国内における大形風力発電機の設置が近年急速に広がっている。当社も風力発電の先進国、デンマークの風力発電機メーカーNEGMICONA/S社と国内代理店契約を締結し、すでに8箇所17基の大形風力発電システム(225~600kW/基)を納入、又は設置中である。風力発電は事業採算性に優れており、年間平均風速約6.0m/s以上の風が吹く地域であれば、10年以内で設備費を回収できる試算例もある。発電電力は所内負荷設備に供給するほか、電力会社に売電する。ここでは世界No.1のシェアを誇るNEGMICONA/S社の風力発電機を導入したエバラ風力発電システムを紹介する。

新規電気式脱塩装置・GDI

 エバラ時報 No.184 p.76 赤堀 晶二
 電気透析槽に放射線グラフト重合法で製造したイオン交換不織布とイオン伝導スペーサーを充填したGDIと呼称する独自の電気式脱塩装置を開発した。GDIシステムは電気エネルギーだけで理論純水に近い18MΩ・cm級の高純度な純水が製造可能で、TOC及びシリカの除去率も高い。再生薬品が不要、したがって排水処理設備も不要なGDIシステムは、省スペース、省エネルギー、容易な運転管理、連続運転可能という特長がある。半導体・液晶産業での一次純水、精密部品の洗浄用水、原子力・火力発電所のプラント用水、またファインケミカルの原料水として幅広く適用が可能である。

データ・ロガ・システム/ロガ・分散制御システムLS16A/WIN

 エバラ時報 No.184 p.84 開発啓全 ほか
 近年のプラント制御系は、計算機制御指向が顕著である。計装システムは、CPU応用製品がほとんどであり、動力制御もシーケンサと呼ばれるコンピュータシステムによる制御が主流となっている。このような情勢の中、中規模以上のプラント制御系は集中監視システムや、分散制御システム(DCS)化傾向にあり、官民を問わず数多く採用されている。プラント制御系の標準機種としてパソコンDCSの基本部の開発が完了したので報告する。

ダイオキシン類測定分析の現状と動向

 エバラ時報 No.184 p.87 大羽 宏 ほか
 環境汚染物質の代表的存在として最近話題に上ることが多いダイオキシン類について、その測定分析の概要と技術動向及び問題点を試料採取、抽出、クリーンアップ、GC/MS測定、定量及び精度管理の各操作段階ごとで示した。

流体音工学セミナー「第4回 流体システムの騒音」

 エバラ時報 No.184 p.93 丸田 芳幸
 流体の非定常現象に伴って発生する音を制御したり、利用するための技術を解説する連載講座の第4回目である。風水力機械から発生する騒音と非定常流体の自励振動現象から生じる卓越音とに関して、発生機構と制御低減事例を説明する。風水力機械における代表的な流体騒音である、「翼通過周波数音」、「翼列干渉音」、「舌部干渉音」、「ポンプ脈動音」、「キャビテーション騒音」、「配管系はく離流れ騒音」、「消音器気流発生騒音」などを解説する。また、自励振動流体音として「キャビティ音」、「すき間流れ音」を解説して、せん断流における自励振動発生機構とそれに関与する共鳴現象が重要であることを述べる。