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エバラ時報 No.186

井口在屋先生を偲んで

 エバラ時報 No.186 p.3 白倉 昌明
 本文には、井口博士の二論文について略述するが、それらの原稿提出は明治37(1904)年10月と12月であり、印刷公表は共に明治38(1905)年5月である。日露戦争にて、苦戦の後旅順の堅塁を抜き、さらに日本海海戦にて大勝を博するに至る時期に当る。約百年前の国民的熱気と団結を想起して感慨なきを得ない。開戦に至る数年間の極度に世情騒然たるうちに、孜孜(しし)として基礎的研究に献身され、成果をまとめて世に問われた、井口博士の学究としての使命感に深く敬意を表するものである。論文に述べられている、独特の水力損失の把握法は、その長所を採用して活用すれば、ポンプあるいは水タービンの性能換算式の新しい展開に資するところ無しとはしないと思われる。

光と電子が作るアメニティ —人、食品、ウエハに対する快適環境—

 エバラ時報 No.186 p.13 藤井 敏昭 ほか
 快適環境としてのアメニティは、快適性、快適な空間、快適な生活等の包括的な概念として広く用いられており、分野によってそのニュアンスは異なっている。ここでは、光と電子が作るアメニティについて、人、食品、半導体ウエハに対して述べる。(1)人体に対してはこれまでの汚染物質除去に、今後は人の感覚に刺激を与え快適と思わせる要因の付加が必要、(2)食品に対してはこれまでの冷却に、今後は直接的な殺菌や鮮度保持効果の付加が必要、(3)ウエハに対してはこれまでの粒子除去に、今後はガス除去や酸化抑制の付加が重要になる。これらの課題に対して、光と電子の利用技術は、アメニティ空間の創出に効果的である。

高効率発電設備を有するストーカ式都市ごみ焼却施設の運転実績

 エバラ時報 No.186 p.19 静間 誠 ほか
 3.92MPa(abs)×400℃のボイラで、高効率発電を行う「くりりんセンター」が竣工から3箇年が経過した。注目されるSHの腐食に関する経時変化は、当初の目標耐用年数である5年を上回る結果となっている。同時に、燃焼装置、ボイラ形状などのハードウエアと最新の自動燃焼制御システムのソフトウエアの相乗効果によって、安定した長期連続運転とダイオキシン類低減を維持していることが確認できた。また、本自動燃焼制御システムは、蒸発量を可変することができる負荷追従制御によって、効率的な売電が可能となり、維持管理費用が軽減された。

ストーカ式都市ごみ焼却施設のダイオキシン恒久対策技術

 エバラ時報 No.186 p.27 静間 誠 ほか
 都市ごみ焼却施設におけるダイオキシン対策は「新ガイドライン」から「廃棄物処理法」及び「大気汚染防止法」等の法規則の段階に来ている。当社は早くより燃焼改善による発生制御や、バグフィルタ、触媒反応塔等の排ガス処理技術とともに、プラズマ溶融炉における灰、飛灰の処理技術を開発してきた。本報では、各ダイオキシン対策技術の詳細を示すとともに今後の規制対策となる総排出量の状況を、新技術を含めて言久する。

半導体製造における磁気軸受の応用

 エバラ時報 No.186 p.34 中澤 敏治 ほか
 半導体製造において、高集積化、微細加工化が進んできている。そのような状況の下、オイルフリー、パーティクルフリー、非接触、低振動である磁気軸受が注目されている。その一例が磁気軸受形ターボ分子ポンプであるが、その他の機器や装置にも用途は広がりつつある。近年、磁気軸受に対する新しい要求として、コンタミフリー及び耐食性が求められている。今回は、一般的な磁気軸受の特徴と半導体製造における磁気軸受の応用について説明する中で、これらの要求に対する課題と対応策について紹介する。

RCPシリーズ中小形冷温水機

 エバラ時報 No.186 p.38 中村 宏樹
 1992年から生産をしているRAP型に代わり、溶液熱交換器をプレート化し、効率、信頼性等を向上させたRCP型を販売開始した。ガス焚きの機種では低NOx比例制御バーナ(12A、13A)を採用し、主要制御部品を高機能化された大形機種のRCDと共用としている。冷凍サイクルを見直し、溶液熱交換器を高効率のプレート式とすることで、COP=1.01とした。また、小形化されたプレート式熱交換器を採用することで、機内の吸収溶液の量を削減できるため、始動時間、希釈時間を短縮することができる。シリーズ構成としては40~135USRtを用意しており、冷却塔一体形、暖房能力を強化した暖房(超)過大形も取りそろえている。

スクリュータイプドライ真空ポンプ

 エバラ時報 No.186 p.44 柳澤 清司 ほか
 半導体及び液晶パネル製造工程のプロセス技術の進歩にともない、プロセスガスの多様化とガス量の増加が進んでいる。その結果、ドライ真空ポンプ内で発生する反応副生成物が増える傾向にあり、今まで以上の耐久性が要求されている。当社では、従来からの多段ルーツタイプに加え、特に重負荷プロセス用として、スクリュータイプドライ真空ポンプを開発し製品化したので報告する。

燃焼式排ガス処理装置

 エバラ時報 No.186 p.48 川村 興太郎 ほか
 近年、半導体及び液晶パネル製造プロセス用排ガス処理装置に対し、ランニングコストの低減及び複雑化した排ガス処理システムの簡略化が必要となってきている。更に、環境汚染防止面から地球温暖化ガス(PFCsガス)の分解処理性能の向上が重要な課題となってきている。本燃焼式排ガス処理装置は火炎に直接排ガスを接触燃焼する燃焼部と、1次・2次冷却部及びファンスクラバにて構成する湿式処理部を複合したコンパクトな処理装置である。これにより、1.PFCsガスを高効率で分解可能、2.各種有害ガスの同時処理による処理システムの簡略化、3.ランニングコストの低減が達成できた。

緊急排水ポンプ車

 エバラ時報 No.186 p.52 神野 秀基 ほか
 地球を取り巻く環境が変化し始めており、エルニーニョやラニーニャによる異常気象が世界の各地でおこっている。日本においても近年、台風による被害に加えて梅雨時及び秋期に局地的集中豪雨が発生し、浸水被害が発生している。これら局地的豪雨に対応するために機動性に優れた緊急排水ポンプ車(排水ポンプ車)を新たに開発し納入した。

バッチ式流動床式焼却施設 —岡山県西部環境整備施設組合ごみ処理施設納入—

 エバラ時報 No.186 p.58 岩橋 浩文 ほか
 岡山県西部環境整備施設組合にバッチ式流動床式都市ごみ焼却施設を1999年3月に納入した。本施設は、1日8時間運転で50tのごみを焼却できる炉が2基ある。本施設の特長は、流動床式バッチ炉であるために安定燃焼時間を長くでき、一酸化炭素濃度を低く抑えることができる。また、煙道に活性炭を噴霧することによりダイオキシン類濃度を低減できることである。

藤沢工場第二発電所

 エバラ時報 No.186 p.61 宇須井 章 ほか
 当社藤沢工場内にIPP用の発電所を設計・建設した。この藤沢工場第二発電所は、ガスタービン(FT-8)、海外製のHRSG、蒸気タービン、空冷コンデンサから成るコンバインドサイクル発電設備である。ガスタービンの主燃料は都市ガスであるが、冬期には灯油を使用する。発電機総出力は、66.7MWで年間利用率30%契約である。従って、プラントはDSS運用となる。朝のプラント立上げ時間はガスタービン併入から約50分である。

し尿処理施設におけるパネルレス中央監視設備

 エバラ時報 No.186 p.67 永井 誠治
 近年プラント監視制御は、パソコンDCS化が一般的となってきたが、このほどパネルレスタイプの中央監視室を持ったし尿処理場を設計し、稼働を始めた。主装置は、パソコンDCSと100インチ(50インチ×4面)マルチビジョンを組合わせた監視制御装置であり、ITV装置、事務処理用パソコンはネットワークでつないだ新しいシステムを構築したので報告する。

ポンプ用すべり軸受の選定について

 エバラ時報 No.186 p.70 木村 芳一
 本内容は遠心ポンプ用に使用されるすべり軸受について、選定方法と実機への搭載状況を解説したものである。まず、ポンプの半径方向スラストと軸方向スラストの発生理由とその低減方法について述べている。また、実際にポンプに使用されているすべり軸受について、その特性とその選定方法を説明した。更に実機に採用されている軸受について、油潤滑軸受とプロセス流体潤滑軸受とにわけて、ポンプにどのように使用されているか、どのような特徴をもたらしているかを解説した。省資源・省エネルギー、高機能・高信頼性などの問題が、今まで以上にポンプに要求されている。こうした観点で軸受を見直す必要があり、今後とも、与えられた要求に対して最適に設計できる技術を確立することが重要である。