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エバラ時報 No.191

純銅の片振り疲労中に現れる減衰係数ピーク現象と内部組織変化の関係

 エバラ時報 No.191 p.3 大谷 俊博 ほか
 電磁超音波共鳴法(EMAR法)を用いて99.99%純銅材の完全片振り疲労損傷過程中の横波の減衰係数と音速の変化を連続的に非接触・非破壊で観察した。減衰係数は、疲労損傷過程に非常に敏感であり、応力振幅値に依存せず疲労寿命の20~40%で最大値を示した。また音速はその範囲で小さな落ち込みを見せた。この現象はTEMやレプリカ観察から、転位の可動性と再配列によると考えられる。EMAR法を用いることにより、この現象は初めて観察されたものである。本方法は、金属材料の微視組織やプロセス中の動的な変化の測定にも有用である。また、金属材料の疲労損傷の評価や余寿命予測の可能性をもつ手法である。

300mmウエハ搬送ボックスのクリーン化 —光触媒とUV/光電子法によるウエハ表面の汚染防止—

 エバラ時報 No.191 p.11 藤井 敏昭 ほか
 半導体産業では、製造コストの低減化のために、ウエハ大口径化の手法がとられており、現在は300mmウエハの製造技術についての検討が進められている。300mmウエハは、1ロットの質量が人力で持ち運べる限界のためFOUPと呼ばれるボックスに収納し自動搬送される。このため、内部からの発ガスや発塵によるウエハ汚染の問題がある。ここでは、光触媒とUV/光電子法によるクリーン化ユニットを300mmウエハボックスの片側に着装した。その結果、ボックス内のガスと粒子は同時除去されること、本ボックスを用いMOSデバイス製造すると信頼性の低下が抑制されることが分かった。

分子動力学解析による活性炭吸着性能の予測

 エバラ時報 No.191 p.20 王 新明 ほか
 活性炭フィルタの吸着性能を予測するために、分子動力学法を用いて活性炭細孔内のアルカン分子の吸着挙動を解析した。難黒鉛化性炭素の結晶構造を基に、細孔の解析モデルを考案した。吸着質としたドデカンのメチル又はメチレン基を自由度のもつ粒子としてモデル化した。分子間非結合力はレナード—ジョンズポテンシャルで表し、ドデカン分子内の隣接粒子には伸縮、結合角及びねじれ角による結合ポテンシャルを考慮した。実験データとの比較を行い、本解析モデルの有効性を確認した。細孔内での異なる数のドデカンに対する吸着過程を解明した。系の吸着エネルギーを求め、吸着性能に及ぼす活性炭細孔幅及びドデカン数の影響を明らかにした。

極低溶出樹脂の開発

 エバラ時報 No.191 p.27 出水 丈志 ほか
 原子力発電プラントにおいては構成材料の腐食抑止の観点から系統水を高純度に維持する必要がある。系統水中の主たる不純物は硫酸イオンであり、これは復水脱塩装置で使用しているイオン交換樹脂からの溶出物に由来しており、これを極力低減することが求められている。これを達成するために高架橋度で均一粒径である「極低溶出樹脂」を開発した。実プラントでの使用を模擬した加速酸化試験の結果、従来樹脂に比べて有機物の溶出速度は小さく、溶出有機物の平均分子量も小さいことがわかり、更に、アニオン樹脂の表面汚染の観点からも優れた樹脂であると評価された。また高架橋度樹脂の欠点と言われていた反応速度や再生特性の面でも実設備への適用に問題のないことを確認した。

生ごみの中温及び高温メタン発酵における生ごみ組成の影響と動力学的解析

 エバラ時報 No.191 p.33 片岡 直明 ほか
 中温(35℃)及び高温(55℃)メタン発酵に及ぼす生ごみのC/N比、有機物負荷、アンモニア濃度の影響を回分実験で検討した。C/N比12の模擬生ごみを高温メタン発酵した場合、NH4+-N濃度2500~2800mg/lでアンモニアによるメタン発酵阻害が認められた。動力学モデルを用いた解析では、最適有機物負荷は、中温で0.18gVS/gVSS、高温で0.33gVS/gVSS、最大比メタン生成速度は、中温で141ml-CH4/gVSS・d、高温で303ml-CH4/gVSS・dであり、いずれも高温のほうが約2倍高かった。また、メタン生成活性が50%減少したときのNH4+-N濃度は、中温で6020mg/l、高温で4940mg/lであり、高温のほうがアンモニアによる阻害を受けやすいことが示された。

プラスチックの溶融解体法による複合材廃棄物リサイクルシステムの開発

 エバラ時報 No.191 p.43 小塚 浩志 ほか
 家電製品などプラスチック及び金属で構成された廃棄物のリサイクル方法として、破砕をせずに有姿のまま加熱し、プラスチックを溶融・ガス化することにより廃棄物を解体するという技術を開発した。金属類は容易に分解できるので、高回収率かつ高純度で回収可能である。廃棄物に含まれるプラスチックは加熱エネルギーとして有効利用されるので、処理に必要な外部エネルギーは低減される。冷蔵庫などに含まれるフロンは加熱時に分解されるので特別な回収装置は必要ない。本研究は、IMS国際共同研究プログラムの「TESプロジェクト」として行われたものである。

デンドリティックウェブシリコン太陽電池の開発

 エバラ時報 No.191 p.50 柴田 明夫 ほか
 デンドリティックウェブシリコン法(ウェブ法)で作製した単結晶シリコン基板を用いた太陽電池を開発した。ウェブ法とは、厚さ100μm程度の単結晶シリコン基板を溶融シリコンからリボン状に製造する技術である。そのため、従来のようにインゴットからスライスして基板を作る方法と比較し、材料の無駄が少なく低コストの太陽電池を製造することができる。従来、ウェブ法では結晶を安定して製造するためには様々な問題点があったが、炉の改良を行うことで生産性を大きく向上することができた。また、ウェブシリコン基板を使用して、ユニークな太陽電池を開発した。