テクノロジー&サービス

最先端テクノロジー&サービス

エバラ時報 No.193

水圧比例制御弁の開発

 エバラ時報 No.193 p.3 高橋 圭瑞 ほか
 作動流体に水道水を使用する比例制御弁を開発した。本制御弁は水使用に鑑みた各種工夫が施されている。まず水圧用に改良した比例ソレノイドの特性を示し、従来のものと同等の性能を備えていることを明らかにする。次に、水圧比例弁の構造的な特徴を示す。水は低潤滑性、低粘性であることから、弁にはスプールを支持する静圧軸受を設け、スプールの動作を安定化するためにダンピングオリフィスを設けている。静圧軸受部は軸受効果を得ながら、軸受流量が少なくなるように設計されている。軸受部の流れは弁内部に水が滞留することを防いでいる。最後に、本比例弁の単体特性と、シリンダを制御した制御結果の一例を紹介する。

電磁超音波共鳴法

 エバラ時報 No.193 p.10 大谷 俊博 ほか
 電磁超音波共鳴法(electromagneticacousticresonance:EMAR法)について説明をした。EMAR法は、非接触で超音波を送受信できる電磁超音波探触子(electromagneticacoustictransducer:EMAT)と超音波共鳴法を組み合わせた非破壊で材料特性を評価する超音波スペクトロスコピー法である。EMATを超音波共鳴法に用いることで、共鳴状態での同位相の多重エコーを受信し、EMATのS/N比を向上させ、その結果変換効率を大幅に改善させることができるとともに、非接触のため超音波減衰の絶対値を計測することができる。ここでは、EMAT超音波発生原理を説明する。そしてEMAR法による減衰の測定方法、計測システムの特徴について示す。また、減衰測定に対してEMAR法が従来のパルスエコー法よりかなり優れていることを示す。

真空脱気処理による下水汚泥の沈降濃縮性改善効果

 エバラ時報 No.193 p.19 秦 良介 ほか
 下水の集約汚泥処理における長距離輸送によって腐敗した汚泥に対し、真空脱気処理を施すことで重力濃縮槽での沈降濃縮性の改善及び汚泥臭気の軽減効果をパイロットプラント実験によって確認した。脱気後のSS回収率は、汚泥の腐敗の激しい夏期及び秋期において撹拌系より20ポイント向上し、濃縮汚泥濃度は5g/l高くなった。また年間を通じてスカムの発生を完全に抑制した。更に真空脱気処理によって汚泥中のガス成分が濃縮排気されるため、処理後の汚泥から発生するH2S等の臭気成分が軽減された。今後更に進む汚泥の集約処理に起因して、汚泥処理はますます困難になることが予想され、汚泥の真空脱気処理はその一つの解決策となると考えられる。

固相抽出器を用いた絶縁油中PCBの迅速分析法

 エバラ時報 No.193 p.27 高田 誠 ほか
 分析が難しいとされる電気絶縁油中の微量PCBについて分析時間の短縮と同時に低塩素化PCBの高感度検出を目的とした迅速分析法について報告する。本分析法は液液抽出と固相抽出器の組み合わせにより前処理工程を迅速化し、低分解能四重極型GC/MSによる測定を行うものである。高度な技術や高価な器材を必要とせず、容易に分析を行なうことができる。公定法である従来法と測定値を比較し、精度よく測定可能であることを確認した。また再現性も優れていた。本分析法は従来法に比べ、分析時間は30分の1、コストは5分の1に抑えることができた。PCB処理施設での運転管理、PCBの汚染物判定に実際に用いられた。

イオントラップ—MS/MS装置を用いたダイオキシン分析の高速化(第2報)

 エバラ時報 No.193 p.33 堤 かおり ほか
 1997年からダイオキシン高速分析法の開発を行い、その概要は前報で報告した。今回、その改良を行った結果、精度・感度を向上させ、汎用性の高い分析法を確立した。主な改良点は、(1)ディスクフィルタ法との組み合わせにより水試料への適用拡大、(2)活性炭含有試料の高効率抽出方法の確立、(3)分析条件の最適化による感度向上、(4)減圧・遠心濃縮器による濃縮方法の確立の4点である。また、低濃度の土壌試料10検体のクロスチェックを行った結果、本法とJIS法は高い相関があることを明らかにし、感度が向上したことを示した。

大規模空間用循環ファン

 エバラ時報 No.193 p.41 齋藤 透
 大規模空間の空調負荷を低減させるため、円形ドームなどで循環用ファンで旋回流を発生させ、効率良く省エネを行うシステム及び気流発生用ファンを竹中工務店で考案した。本編では、このシステム用として製作納入したドーム用循環ファンの概要について紹介する。循環ファンは、単に旋回流を発生させるだけでなく密閉空間で客席の近くに設置されるため、小形・低騒音が要求される。ここで紹介するファンは、サイレンサを内蔵した低騒音形斜流ファンで規定の風速条件及び騒音(NC45)を満足する製品となった。

加圧二段ガス化システム —EUP—

 エバラ時報 No.193 p.45 杉山 秀子 ほか
 廃プラスチックのケミカルリサイクル技術である「加圧二段ガス化システム(EUP)」を宇部興産(株)と共同で開発した。低温流動床ガス化炉と高温旋回溶融ガス化炉を主要部とするこのシステムは、廃プラスチックを水素(H2)及び一酸化炭素(CO)主体のガスに転換し、隣接する化学工場でアンモニアの原料として利用するものである。2001年1月からは容器包装リサイクル法に基づく分別収集廃プラスチックを用いた商業運転を開始している。現在の処理能力は30t/dであり、2002年度には65t/dに増強し、処理量2万トン/年規模にする計画である。本稿では、このシステムの概要と運転状況について報告する。

建設コスト縮減技術を導入した大形排水機場 —牛津江排水機場—

 エバラ時報 No.193 p.49 永野 有太 ほか
 牛津江排水機場は、牛津江川流域の内水排除を目的として、佐賀県小城郡牛津町に位置する機場で、既存の第1機場に加え、2001年3月に第2機場が増設され、運用を開始している。第2機場のポンプ設備は、「建設コストの縮減」と「設備の信頼性・操作性向上」を目指し、施設のコンパクト化や設備簡素化の新技術が導入されている。本機場の施設及び、主ポンプの高速小形化、水路の高流速化などの導入新技術を紹介する。

シンガポールクランジ下水処理場建設工事

 エバラ時報 No.193 p.55 岡田 滋
 シンガポール国クランジ下水処理場第3期拡張工事は、1995年3月に工事を開始し、1999年8月に終了した。当社は、このプロジェクトをNSC(指名下請契約者)として三菱商事とコンソーシャムを組んで受注した。
主契約者は、現代建設であり、施工管理をしたコンサルタントは、ビニー・ブラックアンドビーチ、エンドユーザはシンガポール環境省であった。
処理場増設工事の処理量は75000m3/dであり、既存設備の処理能力を倍増した。プロジェクトチームのメンバーは、多国籍のチーム員からなり、試運転の最盛期には30人を超える人数となった。社内各部署の協力とチーム員の努力により、処理場は満足すべき処理性能を発揮するに至った。

BCD法による自社保有PCB処理

 エバラ時報 No.193 p.61 吉田 舞奈 ほか
 1999年10月に、国内で初めて脱塩素化分解法による廃PCB等の産業廃棄物処理施設の設置許可を取得し、2000年1月から1年間、BCD法により高濃度PCBの自家処理を行い、安全・確実に処理することができた。処理にあたっては、地元の皆様や関連行政の方々とのリスクコミュニケーションを図り、ご理解、ご協力得ることができた。
処理後の油中のPCB濃度はすべて基準値以下にまで処理されており、ダイオキシン類も検出されなかった。また、プロセス排気及び環境大気のPCB、ダイオキシン類濃度も十分低く、処理による環境への影響は認められなかった。この自家処理の経験が、日本のPCBの廃絶に役立つものと期待している。