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エバラ時報 No.195

3次元逆解法によるターボ機械翼の最適設計 —第1報、基礎理論とポンプ設計への適用—

 エバラ時報 No.195 p.3 後藤 彰 ほか
 最適な流れ場を規定し、これを実現する翼形状を数値解析により決定するという逆解法理論と、ターボ機械内部の3次元流れを数値解析するCFD技術を併用した、ターボ機械翼の最適設計技術を構築した。同技術は、

  • 3次元流れ場の制御が容易
  • 論理的アプローチにより大幅な高性能化が可能
  • 求まった最適負荷分布をほかの類似設計に直ちに応用可能
  • シリーズ開発などの体系的設計に適する
  • 設計ノーハウがデジタル化でき容易に技術伝承可能

 などのさまざまな特長を有している。本論文では、第1報として、3次元逆解法の基礎理論と、その有効性を斜流形ディフューザポンプにおいて解析的・実験的に実証した結果を報告する。

磁気軸受搭載ロータダイナミクステストスタンドによるシール・軸受の特性評価

 エバラ時報 No.195 p.11 江口 真人 ほか
 5軸制御磁気軸受ユニットを搭載したロータダイナミクステストスタンドは、シール中心に対する回転軸の偏心量や回転軸の振れまわり振幅を制御することが容易である。この優れた特性故に、軸振動に対する溝付きシールのすき間内の液膜の応答である小さな流体反力の周波数特性が精度良く計測できたので得られた知見を報告する。また、磁気軸受の制御と水配管ループの改良により溝付きシールの溝部を横切る水流の卓越音を再現良く測定できる手法を新たに開発した。実験にて得られたキャビティ音の基本的な特性に関して報告する。その結果、ポンプに頻繁に適用される溝付きシールの設計に必要とされる特性の予測に新たな方向性を見出すことができた。

遺伝子組換え酵母を用いた各種排水中の環境ホルモンの評価

 エバラ時報 No.195 p.23 恩田 建介 ほか
 遺伝子組換え酵母を用いた女性ホルモン様活性測定法を構築し、種々の排水処理プラントの女性ホルモン活性物質の挙動を調査した。17β-エストラジオール(E2)濃度に換算した女性ホルモン様活性は下水で0.099μg・/-1、畜産排水で4.0μg・/-1、そしてごみ埋立て地浸出水で0.25μg・/-1であった。天然女性ホルモンであるE2は下水や畜産排水で女性ホルモン様活性に対する寄与が高く、ごみ埋立て地浸出水ではbisphenol Aが活性に対して高く寄与していた。また排水によっては未知の女性ホルモン活性物質の存在が示唆された。以上の結果から本アッセイ法は環境試料中の女性ホルモン様物質の総括評価法として有効であった。

汚泥造粒炭化装置の実証試験

 エバラ時報 No.195 p.32 石川 康誠 ほか
 下水処理場やし尿処理場などから発生する有機性汚泥は、年々増加する傾向にあり、その円滑な処理・処分は重要な課題となっている。また、昨今、省資源・省エネルギー指向が広く浸透し、これまで廃棄物として扱っていた物をリサイクルする技術が重要となっている。
こうした中、汚泥の有効利用と減容化を図るため、1998年から汚泥炭化処理設備の研究・開発に取り組んできた。設備は、当社の汚泥造粒乾燥機と既存の内熱式ロータリーキルン炉を組み合わせたものとなっている。
更に、得られた炭化汚泥を用いて、土壌改良材としての有効性を確認するために栽培試験を実施し、良好な結果を得ることができた。

固体高分子形燃料電池コージェネレーションシステムフィールドテスト

 エバラ時報 No.195 p.38 牧田 昇 ほか
 クリーンなエネルギーとして注目される燃料電池を核に、コージェネレーションシステムを構築し、2年間の予定で検証テストを実施中である。燃料電池本体は、250kW固体高分子形で3.3kVの商用電源に連系している。固体高分子形燃料電池の特長の低温(74℃)排熱は、当社で改良開発した低温水吸収冷凍機の熱源とし、冷房用として使用される。テストの結果、燃料電池本体の発電効率は設計値の34%(LHV換算)、排熱を含めた総合効率では設計値を上回る76%を達成した。併せて電池排熱と吸収冷凍機との適合性、ピークカット運転の適用性などを確認し、いくつかの改善を実施した。今後更に経済性、保守性などの検証を行っていく。

プラント制御エンジニアリングツールEBALIUS

 エバラ時報 No.195 p.43 藤井 亮 ほか
 産業オートメーション向け制御システムにおいてはその機能・性能向上やハードウェアのコストダウンについて一段落した感があり、エンジニアリングコストの圧縮が次なる課題の一つとなっている。当社ごみ焼却設備の制御システムについてこの点から検討を行い、制御システム設計を対象としたCAE(Computer Aided Engineering:コンピュータ援用エンジニアリング)ツールEBALIUS(EBAra control LogIc Unified System:エバリウス)を現在開発中である。この度その第一ステップとして設計図面作成機能が完成し、試用を開始したので報告する。

エバラ施設情報管理システム

 エバラ時報 No.195 p.50 井上 聡 ほか
 エバラ施設情報管理システムは施設の様々な基盤情報上に日々の保全管理業務や制御系システムからの運転運用データを蓄積し、これらを加工、分析、共有、活用することによって総合的に運用維持管理業務を支援するネットワークデータベースシステムである。
施設、設備の運用維持管理業務における知的財産としての情報管理の重要度が高まり、IT技術の飛躍的進化と相まって、様々な分野に適用され、発展を続けてきている。今後も更なる情報の有効活用推進や維持業務革新の基盤ツールとして、大きな期待が寄せられている。本稿は、この施設情報管理システムの機能概要と近況について紹介する。

ERPを活用した循環形—統合基幹システムの設計思想

 エバラ時報 No.195 p.58 江崎 和博 ほか
 近年、事業の全業務領域(販売・調達・製造・物流・管理会計)の支援機能を統合化することによって、事業プロセス全体の抜本的な業務改革(BPR:Business process re-engineering)を可能とするERP(Enterprise resource planning)の普及が急速に進んでいる。ただし、これらのシステムはあくまで製品の受注後、調達・製造を経て出荷するまでの企業内の一部のプロセス領域を管理しているが、製品の開発・設計や顧客に納入後の保守サービス、再受注に至るプロセス領域で発生する情報の管理を含んでいない。本文では、このような課題を解決するために構築中の循環形—統合基幹システムの概念や期待できるシナジー効果などについて紹介する。

河川施設運用管理システム

 エバラ時報 No.195 p.64 内藤 尚樹 ほか
 国土交通省常陸工事事務所に納入した河川施設運用管理システムは、那珂川流域の広域に数多く点在する小規模排水施設群の洪水初動対応の迅速化と治水安全度の向上を目的とした管理システムである。本管理システムは、管理対象施設を工事事務所及び出張所から光ケーブルネットワークを介して集中管理するものであり、通常の遠隔監視制御機能に加えて、Web監視機能及び施設情報管理機能を統合した運用管理システムである。

中国山西省/万家寨引黄プロジェクト向けポンプ設備

 エバラ時報 No.195 p.70 万家寨引黄プロジェクトチーム
 中国山西省に納めた15台のポンプのうち5機場各1台のポンプの連結運転に成功した。本プロジェクトは大容量、高揚程であり、更に五つのポンプ機場が直列に連結運転されるため、要求された仕様はポンプ一般性能だけでなく、送水過度現象や運転制御に対しても大変レベルの高いものであった。更に本ポンプは黄河が有する高濃度の砂に対する高いレベルの摩耗対策、補修対策を要求されており、適用するハードフェーシング材料や施工方法の有効性は黄河の砂を実際に用いた試験で検証している。また摩耗補修期間短縮のためポンプ分解・組立てを迅速に行えるよう様々な工夫を盛り込んだ。プロジェクトの完成は2002年末になるが主要な技術的問題点を解決することができた。