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エバラ時報 No.211

原子論的生産技術の創出を目指して

中国万家寨引黄プロジェクト向けポンプ羽根車の耐エロージョン対策

 多量の土砂を含む中国の大河流域で使用されるポンプは,砂の衝突によるスラリー摩耗,及びキャビテーション壊食が発生し,深刻な問題になっている。また,使用される材料のエロージョンによる摩耗量の予測は,使用材料の選定,メンテナンスなどの観点から非常に重要な技術である。本稿では,耐エロージョン溶射皮膜の開発及びスラリー摩耗による体積減少量予測手法について紹介した。補修用に開発した自溶性合金皮膜は優れた耐エロージョン性を示した。また,スラリー摩耗量予測については,重要なエロージョン因子である衝突粒子の速度,角度などを考慮した摩耗量予測手法を提案した。

排熱発電装置の開発(作動媒体及び膨張タービンの検討)

 排熱(温水)を駆動熱源とする発電装置の簡易化,コンパクト化を目指し,作動媒体の検討と膨張機の検討を行い,更に試作機による実機試験を行った。低温熱源で駆動するサイクル(蒸発温度77℃,凝縮温度42℃)を用いて,各種作動媒体による特性比較を行い,発電サイクルに好ましい作動媒体として,TFE,R123,R245faを選定した。実機試験装置ではTFEを用いることにした。膨張機はラジアルタービンとし,TFE用に新規に設計試作した。実機試験装置を,熱源に温水,冷却源に冷却水を用いて駆動し,発電電気は系統に連係した。実機試験から,発電サイクルの特性,膨張タービンの特性などを明らかにした。

電子線を用いたウェーハ欠陥検査装置(EBeye)の開発(第2報)

 当社では写像投影電子顕微鏡(PEM)技術を応用した半導体ウェーハ検査装置EBeye300を開発している。第1報で,この装置が原理的に走査電子顕微鏡(SEM)技術を応用した従来電子ビーム式検査装置よりも3~6倍高速で検査できることを報告した。
 このたび,その設計コンセプトに基づいた装置を製作し,テストウェーハを用いて検査性能の評価を行った。その結果,500~600MPPSの高速検査が可能であること,画素寸法の80%の欠陥を90%以上で検出可能なことが分かった。

半導体製造用PFCsガスのドライ反応・処理

 半導体製造設備のエッチング装置やCVD装置のクリーニング工程で使用されるPFCsガス(PFCs:Perfluoro Compounds)やその副生成ガスの処理装置として,“F固定式排ガス処理装置”を開発した。この装置の特長としては,PFCsガスの高効率処理が可能であること,分解したふっ素(F)成分を処理剤に固定するため完全ドライ式であることなどがあげられる。近年,PFCsガスの処理装置として普及し始めた燃焼式,ヒータ式,触媒式排ガス処理装置は,いずれも分解後に生じるF成分を水を用いて処理する方式が採用されており,半導体製造工場の水処理設備への負担増大につながっていたが,今回の開発でこれらの問題点が改善されると考える。なお,PFCsガスは,GWP(Global Warming Potential)値が大きく,CO2とともに地球温暖化対策に向けて削減に取り組む必要のある物質である。

荏原の知的財産活動

 特許権を始めとする知的財産権に対する世界的な関心の高まりを受けて,その創造・保護・活用に関して昨今,産学官挙げての取組みが強化されている。当社はポンプに関する特許権を創業の基礎としている歴史上,特許に対する関心は高いが,知的財産に関する取組みは必ずしも強力であったとは言い難い。本稿では,21世紀型の企業として脱皮を図ろうとする当社の経営戦略の柱としての知的財産活動について,その考え方と実績を紹介し,合わせて企業における知的財産活動のあるべき姿を考える。