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エバラ時報 No.218

放射光との出会いから

3次元逆解法設計とCFDを用いた冷却塔ファンの開発

 冷却塔の空力性能向上を目的に,冷却塔用の軸流ファンの開発に3次元逆解法設計手法及びCFDを適用した。翼負荷パラメータ,スタッキング条件及び回転速度の影響について系統的に検討し,最適化した。最終決定した羽根を実機冷却塔に搭載して空力性能の検証を行い,逆解法設計ファンは仕様の静圧上昇量を確保し,かつ,既存羽根より効率比が20%以上高いことを確認した。以上の結果から,逆解法設計手法は,軸流ファンの設計においても有益なツールとなりうることを示した。

消化ガスの燃焼特性とマイクロタービン消化ガスコージェネレーションシステムへの適用

 バイオマスの有効利用の重要性が認識され,下水処理場で発生する消化ガスがエネルギー資源として見直されつつある。消化ガスはメタン約60%,二酸化炭素約40%からなる低発熱量ガスであり,ガスタービン燃料として使う場合,保炎性を高める等の燃焼システムの最適化が一般的な手法であった。本書ではRQL燃焼器をもつ再生サイクルマイクロタービンを,高発熱量燃料で始動し,燃焼空気が600K以上に予熱されたところで消化ガスに切り替える手法を用いることにより,専用の燃焼器を用いることなく量産型のマイクロタービンとその周辺機器の改造を最小限に抑制し転用する方法を紹介する。これにより消化ガスを燃料とするマイクロタービンにおいて,確実な始動,アイドリングから定格発電出力までの安定した運転,高発熱量燃料と同等の発電効率が得られた。

In-situ電気化学的評価によるCMPスラリーと配線用金属との表面反応の評価及び表面層の物性評価

 CMPプロセス中の表面反応を把握する目的で,配線金属とCMPスラリーとの電気化学反応を“その場”観察手法を用いて評価した。研磨中と非研磨状態とで電気化学反応特性が異なる事実を観察でき,その特性はスラリーを構成する薬剤によって大きく異なることが明らかになった。この手法を用いることでスラリー,後処理液などのプロセス適用性の可否を実験的に事前に判断でき,開発時間の短縮に有用な手法であることが分かった。金属表面の反応層の機械的特性をAFM(Atomic Force Microscopy)のフォースカーブから評価し,電気化学反応特性との相関性があることを見出した。これにより数nmの極薄反応層の機械的特性を評価できる可能性を見出した。

親水性膜及び疎水性膜に対するSRD,IPA乾燥効果

 高精度なLSI実現に向けて配線プロセスの微細化が進められ,低誘電率であるLow-k膜の実用化が検討されている。Cu/Low-k配線におけるCMP(化学的機械研磨)技術では,Low-k膜に対して低ダメージな研磨,洗浄,乾燥が必要である。Low-k膜表面は疎水面であるため,ウォータマークが発生し易く,それは電気特性に影響を及ぼす。一方,CMPにおける乾燥プロセスでは疎水膜及び親水膜についても最適化する必要がある。比較試験の結果,疎水性膜については従来の乾燥技術であるスピンリンスドライ(SRD)技術に対してウォータマーク抑制効果のあるIPA乾燥技術を使用するのが最適である。また親水性膜については両技術による乾燥性能に違いはないが,ウェーハ処理速度の大きいスピンリンスドライ技術を使用するのが有効である。

放射性使用済イオン交換樹脂処理法の開発

 BWR原子力発電プラントでは水処理設備にイオン交換樹脂が使用されており,使用済みのイオン交換樹脂は,低レベル放射性廃棄物として貯蔵されている。この樹脂は,水分を含む難燃性物質であり,多くのプラントでは処理せずそのまま保管しているが,一部では可燃性廃棄物と混ぜて焼却処理している。また,この樹脂は,粒径400~1000μm程度の粒状物質で散乱し易く,取り扱いには特に注意が必要である。これら処理上の課題を抱えている使用済イオン交換樹脂を連続,かつ安定的に焼却処理する手段として,使用済イオン交換樹脂に石油系ワックスを加えて混練,成形し,混合固化体を製造する技術の開発を進めた結果,実用化の目途を得ることができた。

節水型融雪ポンプ制御システムスノーラスタSP

 スノーラスタSPは,現在,豪雪地域が抱えている地盤沈下や地下水の水位低下の問題を解決する一つの手段として,製品開発されたものである。この製品の特長は,雪の降り方や外気温度などの環境変化に応じてポンプの運転パターンを自動選択し,最適な運転制御が行えることである。更に,コントロール部は,マイコンを搭載しポンプの運転状態(運転時間・起動頻度)を常時監視することで,ポンプ寿命の延命も図ることができる。これまでのスノーラスタは,市場の価格競争からコストダウンを第一優先課題として製品開発を進めてきた。それに対し,スノーラスタSPは,節水と省エネルギーも考慮に入れ改良,開発を進めてきた製品である。

半導体銅配線表面酸化膜の大気中除去装置の開発

 半導体銅多層配線の配線抵抗低減を目的に,抵抗増大の一つの要因である接続部銅表面の酸化膜を除去する装置を開発した。開発した装置は,精密・電子事業カンパニーの主力製品であるCMP,めっき装置などのウェットプロセスへの適用を前提とした,大気中のドライプロセス装置である。
液体から気化させたギ酸ガスをウェーハ表面に効率よく供給することにより,200mmウェーハの銅自然酸化膜を175℃,1分で除去するプロセスを確立するとともに,実用化装置としての基礎特性を把握した。
 以上の検討を基に,小形の酸化膜大気中除去装置を実現した。

特高連系風力発電所監視システムの開発

 地球温暖化対策の一つとして,世界的に導入が進んでいる風力発電は,日本国内においても年々規模拡大の一途をたどり,近年では数十台規模の大型ウィンドファームが各地で建設されるようになってきている。
 通常のウィンドファームにおいては,風車と変電設備はそれぞれ別々の監視装置を使った設備運用がなされており,利便性の面や専用端末,通信機器コストの面で問題を抱えている。
 当社はウィンドファームにおける一元的な運用・管理支援を目的とし,風車と変電設備を統合化管理することができる「特高連系風力発電所監視システム」を開発した。

大和田機場ポンプ設備改修工事

 大和田機場は,印旛沼から新川・花見川を介し東京湾に排水する総排水量120m3/sのポンプ場である。本機場は1966年の完成以来37年以上が経過し,設備の老朽化により機能が低下していたため,機能回復を目的に改修工事が行われた。
 当社は,これらの工事のうち,核となるポンプ設備にかかわる機械設備・制御設備・土木設備の改修を,2004年3月から2007年6月にわたり機器製作及び現場工事を実施した。本工事の遂行に当たっては,機器設計・製作も含め既存のポンプ設備工事技術だけでは発注条件をクリアすることは不可能であったが,種々のソリューション技術を用いることで,工事を無事完了することができた。