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エバラ時報 No.219

開発と研究…鉈と剃刀

SCS6とサーメット系溶射皮膜のスラリー摩耗深さ予測技術

 多量の土砂を含む中国の大河流域で使用されるポンプはスラリー摩耗が発生し,深刻な問題になっている。本研究では,噴流式スラリー摩耗試験装置を用いて,羽根車の基材であるSCS6と3種類のサーメット系溶射皮膜のスラリー摩耗深さ予測について検討した。摩耗深さ予測式は,スラリー摩耗試験装置における粒子挙動解析,及び平均粒径60μmのけい砂を用いたスラリー摩耗試験から得られる試験結果を組み合わせることにより求めることができる。この予測式を用いることにより,平均粒径30μmの黄河砂によるスラリー摩耗深さを予測したところ,試験結果とほぼ一致した。また,スラリー摩耗に寄与する衝突粒子の運動エネルギーには,下限界値が存在する。

マイクロタービンコージェネレーションシステムの遠隔監視と故障診断

 マイクロタービンには高信頼性が求められており,運用にあたって遠隔監視によるメンテナンスのサポートが不可欠である。遠隔監視システムを用いることで様々なデータの取得が可能となった。高速過渡データの分析からは,マイクロタービン緊急停止時や起動失敗時の根本原因究明のための故障診断が行われる。また,長期間トレンドデータの分析からは,適切なメンテナンスを実施するための故障予知が有効に実践されるようになった。その結果,マイクロタービンコージェネレーションシステムは99.5%を超える年間稼動信頼性と起動信頼性が達成された。

CMP中のlow-k材料界面のはく離可能性の予測方法

 大規模集積回路(LSI)素子の絶縁膜候補材料である低誘電率(low-k)材料の多くは機械的強度が低いために,素子の製造には様々な障害が生じるが,中でもlow-k膜のはく離防止は重要な課題の一つである。今回の研究では,四点曲げ試験による試験結果とCMP(化学的機械平坦化)中でのはく離試験によるはく離確率との関係を配線構造での応力分布に写像し,素子の機械特性の予測と組合せて,将来のCMP中でのlow-k材料界面でのはく離の可能性を予測した。この結果から,配線溝部分のlow-k材料のヤング率がある値以上であれば,極端に低いCMP研磨圧力を必要としないこと,はく離の低減には材料の組合せが重要なことなどが分かった。

PFCs含有排ガスの処理方法と除害効率の評価

 近年,地球気候の変動に対する関心が高まっている。半導体産業では温暖化ガスのPFCs(Perfluoro Compounds)が多数使用されており,その有効な排出量削減対策とともにPFCsガスの実除害効率の正確な把握が求められている。当社では,PFCsガス処理装置として燃焼式,触媒式,F固定式を製品化し,PFCsガスの排出量削減に貢献している。これらPFCs排ガス処理装置の特長を踏まえて,PFCsガスの除害効率の評価方法を確立した。

白根排水機場

 白根排水機場の更新工事が行われ,核となるポンプ設備にかかわる機械設備・電気設備を請け負い,機器製作と機器据付工事を行った。本機場の特徴的な工事条件は,地盤沈下に対する対応と信頼性の向上であった。地盤沈下に対する対応については,主ポンプのベースにフレキシブルベースを採用した。信頼性の向上については,主ポンプの無水化,歯車減速機の空冷化,駆動器にガスタービンを採用することで冷却設備の簡素化を行った。また旧機場から新機場に切り替える際に新機場から旧機場のポンプを遠隔操作できるタッチパネルを設けた。

環境・エネルギー機器における高温腐食事例

 環境・エネルギー機器における高温腐食を中心とした材料問題とその取組みについて紹介した。環境エネルギー機器においてはトータルコストダウンが普及の大きなポイントであるが,原料中に含まれる腐食性成分などにより激しい材料損傷が引き起され,コストアップの要因になる場合が少なくない。更に機器の高効率化には高温化が大きなポイントになる場合が多く,より過酷な環境で高い信頼性や低コスト化など,従来以上に厳しい条件が要求されている。そこでこれらの機器における代表的な材料問題として,廃棄物処理装置で見られる腐食事例,更にガス化炉で懸念される材料問題を中心に紹介した。