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エバラ時報 No.223

学生とのコミュニケーション不足

ポンプ用羽根車のスラリー摩耗深さ予測技

 多量な土砂を含む河川水汲上用に使用されるポンプはスラリー摩耗の発生が深刻な問題である。したがって,羽根車のスラリー摩耗深さ分布を予測することは,材料選定,メンテナンスなどの観点から非常に重要な技術である。本研究ではポンプ用羽根車のスラリー摩耗深さ分布を予測する手法について報告する。アルミニウム合金製羽根車のスラリー摩耗試験を実施し,摩耗試験結果と粒子挙動解析結果を比較したところ,解析による粒子の衝突位置と試験での摩耗深さ分布は相関がある。本予測技術は,摩耗深さ分布の定量的な予測精度において工業的に十分有用であると考える。

水を磨くダイヤモンド —ダイヤモンド電極の廃水処理性能について—

 CVD法で製造した導電性の人工ダイヤモンド膜が蒸着された電極は,ダイヤモンド表面で発生する強力なOHラジカルで各種産業廃水に含まれるCOD,色度を効率的に除去した。貴金属電極と比較しても優れた耐久性が証明され,工業的に用いることができる耐久性とサイズの電極が製造可能となっている。本電極を搭載したパイロット処理装置は,フィールド試験でも安定な運転ができることが確認された。

セルロース含有廃棄物の高温メタン発酵処理系における微生物群集の挙動解析

 含水率の高い難分解性セルロースを含む有機性固形性廃棄物を,高効率に高温(55℃)メタン発酵し安定に処理することが課題となっている。これに対し,メタン発酵関連微生物群の16SrDNAをターゲットとした定量PCR法を確立して挙動を調査したところ,我々が単離・同定したセルロース分解細菌JC3株は,セルロース含有模擬原水処理汚泥中で優占化し,セルロースの分解に寄与していることが分かった。また,安定処理の指標となる菌として,水素資化性メタン生成古細菌Methanoculleusの菌が有効であり,この菌濃度の低下がメタン発酵の効率を低下させるプロピオン酸の蓄積を引き起こす一つの要因であることが分かった。

副都心線向け高効率ヒートポンプ採用氷蓄熱システム

 2008年6月に開業した東京メトロ副都心線に高効率ヒートポンプを用いた氷蓄熱システムが導入された。主な特長は

1 . コンパクトで高効率なヒートポンプの採用
2 . コンパクトで高IPF(氷充填率)のコンテナ型氷蓄熱槽の採用
3 . 地下鉄特有の電力事情並びに空調負荷に合わせた最適な空調制御システムの採用

 である。本システム導入により従来方式の空調システムと比べて年間約40%のランニングコスト削減と24%(670トン)のCO2削減が見込まれている。

海外日系企業納入 環境風洞設備

 当社が取り組んできた風洞設備は,これまでほとんどが日本国内に建設されてきたが,このたび初めて海外日系企業へフルターンキー契約で納入した。要求精度に対する技術検討として主ノズル出口での気流分布精度のシミュレーション検討を行い,その結果に基づいて現地製作施工とした。完成後における気流性能の検証では,主ノズル出口3.0m断面で風速分布3.0%以下,第二ノズルの出口1.0m断面で風速分布1.0%以下を達成し,予測どおりの気流分布精度が得られた。今回の納入結果より,当社で長年培った風洞ノウハウと気流シミュレーション技術を使った今後の展開が可能となった。

「腐食防食講座 —海水ポンプの腐食と対策技術—」
第4報:腐食防食解析技術

 カソード防食及び異種金属接触腐食や酸素濃淡電池のようなマクロセル腐食を定量的に予測するために,境界要素法解析技術を開発した。差分法や有限要素法と違って,領域内部までの要素分割を必要としない境界要素法は,複雑な3次元領域の腐食問題を効率的に解析するためには最適な方法である。本報では,まず,腐食防食解析技術開発の歴史を簡単にレビューする。次に,境界要素法解析技術及びそれを使用した解析システムについて説明し,そのシステムの解析精度と有効性を,カソード防食及び異種金属接触腐食に関する検証実験及び解析事例によって示す。