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エバラ時報 No.252

人と技のオーケストレーション -随 想-

縁の下の力持ち 高圧ポンプ -肥料プラント用ポンプ編-

食料の安定生産に欠かすことのできない肥料を生産するプラントで活躍する高圧ポンプには,アンモニアポンプやカーバメートポンプがあります。当社は,1969年から肥料プラント用高圧ポンプの開発にプロセスオーナーとともに取り組み,現在も社会の要求にあったポンプを開発して,多くのプラントに納めています。これら両ポンプの開発の経緯や構造について紹介します。

縁の下の力持ち 高圧ポンプ -CO2インジェクションポンプ編-

CO2インジェクションポンプは,二酸化炭素(CO2)を油層に圧入し,原油を効率的に回収する石油増進回収法(EOR)のプロセスの一部として活躍しています。この際にエネルギー生産や産業で排出されるガスから回収される二酸化炭素が用いられる場合があり,二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)としても期待されています。高圧ポンプの応用例としてCO2インジェクションポンプの役割や特徴を紹介します。

RO方式海水淡水化用大容量,超高効率高圧ポンプの納入
−米国/カールスバッド海水淡水化プラント向け−

米国カリフォルニア州にあるカールスバッドRO方式海水淡水化プラント向けに,大容量かつ超高効率の高圧ポンプを4台納入した。本ポンプの効率はRO方式海水淡水化市場における高圧ポンプとしては世界最高レベルである。超高効率を達成するため,モーフィング技術と流れ解析を組み合わせて従来機種の流路形状を見直し,流路損失の低減を図るとともに,ウェアリングなどの摺動部隙間を狭くすることによって漏れ損失の低減を図った。

ボイラ給水ポンプ用流体継手

地球温暖化が問題となり,CO2 排出量の削減が求められる中,各種プラントで使用されるターボ機械には,いかに運転電力を削減するかの命題が課せられている。また,運転電力費用の削減は,企業経営の観点から見ても重要課題であり,運転効率の改善が求められる。これらの課題を解決する一つの手段として,ターボ機械の回転速度制御が行われるようになり,数多くのプラントにおいて流体継手が使用されている。ここでは,流体継手の動作原理,及び高圧ポンプに使用される大容量・高速型流体継手の例として,電動機駆動ボイラ給水ポンプ用流体継手の構造,特徴について,説明する。

ポンプ流体技術の変遷と展望
〜ASME流体工学部門Fluid Machinery Design Awardを受賞して〜

米国機械学会流体工学部門から,“Fluid Machinery Design Award”を受賞した。それを機会に,著者の経験に基づき,流体工学分野に関わる過去40年間の実験技術,数値解析技術,設計最適化技術の変遷を俯瞰する。事例として,羽根車下流の周期変動3次元流れの計測技術,多色油膜法による複雑な2次流れの可視化技術,数値流体力学技術,3次元内部流れを論理的に制御する3次元逆解法設計技術,流体機械の性能曲線をカスタマイズするための多目的最適化技術,複雑な3次元流路形状を最適化するためのアドジョイント法技術などを紹介し,近未来への期待についても述べる。

「腐食防食講座−高温腐食の基礎と対策技術−」
高温腐食防食講座の連載に当たって

「腐食防食講座−高温腐食の基礎と対策技術−」
第1報:高温腐食の基礎Ⅰ(基礎となる理論)

本号から6回の予定で「腐食防食講座」を連載し,高温度食に関する基礎から当社が行った実機での腐食・防食技術の開発を解説する。本報では,高温腐食の基礎理論を解説した。高温腐食は熱力学と固体中の拡散現象に支配されており,最も重要な法則として,放物線速度則が挙げられる。腐食は腐食生成物(皮膜)中を物質が移動することによって進行するため,腐食速度は皮膜の厚みに反比例する。つまり腐食生成物が腐食を防ぐ役割を果たすため,防食効果の高い皮膜を形成させることが防食の鍵になる。この皮膜生成に対する各因子の影響を概説した。

「腐食防食講座-高温腐食の基礎と対策技術-」
第2報:高温腐食の基礎Ⅱ(防食法,コーティング)

本報では,高温腐食基礎講座の2報目として,高温腐食を防止するための基本的な考え方と,防食法としてのコーティングについて概説した。耐高温腐食性を維持するには,保護性酸化皮膜をいかに安定に合金表面に形成し,維持するかがポイントとなる。保護性酸化皮膜の形成/維持に大きな影響を与える材料側因子として,ステンレス鋼を例に,合金組成,合金組織の影響,及び酸化皮膜の密着性について述べ,環境側因子として,ガス雰囲気,温度,及びガス流れの影響について述べた。また,環境機器/エネルギー機器によく利用されるコーティングとして,主に拡散処理法と溶射法について概説した。

グローバル市場向け立形多段ポンプEVMS型

グローバル市場向け基幹製品として,新型ステンレス鋼製立形多段ポンプEVMS型を発売した。工業用水,冷温水循環,ボイラ給水,建築設備向けの飲料水給水,及び純水製造装置などの幅広い用途に使用されている。羽根車の主板形状を独自の形状にすることで,アキシアルスラスト力を大幅に低減させ,高アキシアルスラスト力対応の専用軸受を用いない標準電動機の選定を可能とした。また,配管バリエーションを充実させ,各種配管接続への適用を可能とした。

武蔵水路糠田排水機場ポンプ設備改修工事
(更新工事の概要・流れ解析の検証)

糠田排水機場は,埼玉県行田市,鴻巣市をまたぐ武蔵水路の末端に位置する。その老朽化に伴い,第1機場と第2機場を統合,排水能力の増強と建屋・土木の耐震補強を実施,2016年3月に正式運用が開始された。本工事は,当社のポンプ関連設備に関わる技術を基に,排水機能を維持しながら機械・電気設備の順次更新,渦対策,土木耐震補強等を実施し,4年半という長期にわたる工事を順調に完工した。また,ポンプ吸水槽及び上流側遊水地を一体とした流れに対し,流れ解析と実施試験との比較検証を行い,流れ解析による渦対策形状の検討が,十分実用的なレベルにあることを確認できた。

高度排ガス処理付き焼却炉設備の納入・運転状況
-江蘇省南京市-

中国江蘇省南京(ナンジン)市に処理規模2 000 t/d(500 t/24 h × 4 基)のストーカ式焼却炉を納入し,2016年3月に性能試験を完了した。荏原環境プラント㈱及び青島荏原環境設備有限公司は,現在までに中国大陸において,既に流動床式焼却施設2 件,ストーカ式焼却炉5 件の合計7 件の納入実績があり,その内3 件についてエバラ時報で報告した。本焼却炉はそれらに続く8 件目であり,施設規模が最大のプラントとなる。
中国で求められるごみ焼却技術は年々高度化し,2014年には中国の国家基準が改定され,ごみ焼却施設の排ガス規制値が強化された。本稿では,厳しい排ガス規制値に対応するため採用した高度な排ガス処理設備の運転状況,性能試験結果等について報告する。

秋田県横手市向け 一般廃棄物処理施設
「クリーンプラザよこて」の建設

秋田県横手市に新統合ごみ処理施設である「クリーンプラザよこて」を納入し,2016年3月末に竣工した。本施設は,熱回収施設とリサイクルセンターで構成される。熱回収施設では,当社最新式のエバラHPCC21型ストーカシステムを採用して1.3 以下の低空気比で運転し,かつ,ボイラの蒸気条件を4 MPa × 400 ℃と本施設規模では国内最高レベルの高温高圧化を図ることで,約20%と非常に高い発電端効率を達成した。リサイクルセンターでは,鉄やアルミ等に関して98%を超える高い純度で資源回収できることを確認した。また本施設では,冬期間に貯蔵した雪を夏季の冷房に利用する雪室や,太陽光発電といった自然エネルギーを積極的に導入している。さらには,災害時に後方支援拠点として機能するよう,十分な居住空間と必要な備蓄品を確保していることも大きな特長である。