| 2007.06.19 | 抗がん剤の薬効向上をナノ粒子化で確認 |
株式会社荏原製作所
荏原は、難溶性抗がん薬をレーザビーム照射によりナノ粒子化することで,薬効が著しく向上することを動物試験で確かめました。
抗腫瘍薬等の一部の薬物は難水溶性であり、溶解補助剤を用い注射剤にする場合が多いです。しかし、この溶解剤の副作用に問題があります。溶解補助剤を用いないで、難水溶性薬物を血管内に注射するにはナノ粒子化すればよいことがわかっています。このサイズは、凡そ200nm以下とされています。
当社は大阪大学の増原名誉教授グループの協力を得て、レーザアブレーション方式により薬物をナノ粒子化しました。(弊社/研究責任者/梅田勲)この微細化技術は、透明容器中に溶媒分散された有機化合物の粗粒子に外部から超短パルスレーザを照射して有機化合物を溶媒中で粉砕する方法で、完全非接触プロセスのため汚染がなく均質なナノ粒子を得ることができます。
ナノ薬物を実現する上でのもう一つの課題は、ナノ薬物が再凝集しないように安定化する製剤技術です。今回は、高分子電解質による静電気的吸着皮膜法を用いました。一般に薬物粒子は液中で帯電しているため、反対電荷の高分子電解質を微量添加することで薬物表面に保護皮膜を生成します。この皮膜の静電気によりナノ薬物は互いに反発して再凝集を防止します。
薬物のナノ粒子化技術と凝集防止技術を組合せて、難水溶性薬物SN-38をナノ製剤化しました(代表的抗がん剤の一つであるCPT-11(塩酸イリノテカン)はこのSN-38を化学的に修飾して水溶性を向上させたものです)。ナノ製剤化されたSN-38のサイズは50〜100ナノメートルです。このナノ製剤化SN-38をヒト腫瘍移植マウスに静脈内投与したところ、CPT-11の凡そ1/20の投与量で同等の腫瘍抑制効果を示しました。
レーザアブレーションによるナノ粒子化及び高分子電解質皮膜による安定化技術は、薬効が高いことは分かっていても難水溶性などの問題から実用化できなかった薬物を蘇らせることもできます。 現状のレーザアブレーション法では試験用程度の微量のナノ粒子しか製造できませんが、今後、量産化技術を確立して医療用に利用できるようにします。
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