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Project 6 期待に挑む

社会のインフラを支える、
グローバルな仕事がしたい。
その一心で勝ち取ったEBARAスピリット カナダ・バンクーバー市 下水処理プラント大型ポンプ入札プロジェクト

カナダにおける西の玄関口であり、同国有数の都市、バンクーバー市。「世界でもっとも住みやすい街」とも呼ばれる同市のインフラを支える下水道処理プラントで荏原製作所のポンプが活躍している。その新たな納入に関する大型競争入札を引き継いだ若き営業担当が1年半の間、様々な難局に立ち向かいながら「熱意と誠意」で受注を勝ち取ったスピリットの証。

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A.Y/風水力機械カンパニー
カスタムポンプ事業部/2014年入社

営業・管理部門コース
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Phase1この案件こそは、ぜひとも勝ち取りたい

2014年夏、Yはカスタムポンプ事業の欧米営業グループに配属されると、すぐにカナダ・バンクーバー市の下水処理プラント案件を引き継ぐことになった。先輩にサポートしてもらいながら副担当として携わり、入社2年目となる2015年度になると主担当として任された。

大型のカスタムポンプを納入する数億円規模の入札案件である。同市の下水処理施設において、荏原製作所はすでに1990年代からポンプを納入しており信頼度も高い。今回の案件についても、すでに前任者によって第1次の技術提案書が提出されていた。

カスタムポンプの営業担当は、常に複数の案件を並行して担当する。その中でも、Yにとってこのバンクーバーのプロジェクトは、ぜひとも勝ち取りたい案件だった。数億円という規模は初めての経験だ。それになによりも、先輩たちが築き上げてきた実績と信頼を自分の力で次代へとつなげていきたいという強い想いがあった。

その動きが慌ただしさを増したのは2015年9月、入札直前の時期だった。現地営業から「ライバル他社が荏原より安価な技術条件での入札を検討しているらしい」という情報がもたらされたのである。Yは、社内の技術部門と交渉してポンプの設計を変更するとともに、入札価格の再検討を上司に相談した。

「それでYは、どうしたいのだ?」。上司は的確なアドバイスを与えるとともに、担当者であるYの意思を尊重した上で、最終判断を下した。

入札も無事に済んで、まもなくその結果が公表されるであろうという11月、Yは落ち着きのない日々を過ごした。朝出社すると、期待と不安が入り交じった気持ちでメールをチェックした。そんなある日、現地営業からのメールを開けると、次のような文章が目に飛び込んできた。

“Congratulations!! Thank you for all your effort!”

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Phase2残念なんてことはありません!

しかし、競争入札を勝ち取ったといっても、あくまでも最優先交渉ベンダーの指定を獲得したに過ぎない。そこから始まる正式受注までの交渉が営業担当としての正念場だ。

交渉で大きなテーマとなったのは、ポンプに起因するトラブルが発生した場合の損害賠償金額だった。Yは、法務部門等と検討した交渉案をもとに、工場とリスク検討会議を開いて契約条件を詰めていった。同年12月、ついに合意に達し、顧客より発注内示書を受領した。ここまでたどり着けばほぼ受注を手にしたも同然だ。

けれどもこの後、思わぬ壁が立ちはだかることになる。契約リスクに関する社内規定が強化され、新たな規定に照らし合わせたところ、この契約条件は認められないという意見が社内から出されたのである。Yは、事業部の統括部長から直接告げられた。

「残念だが、今回の条件は社内で認めることはできない」

通常、発注内示書を受領した後、その内容を変更することはあり得ない。それを顧客に申し出ることは、勝ち取ったものを手放すことをも意味し、顧客との信頼関係も壊しかねない。だが、Yは諦めなかった。

「残念なんてことはありません! もう一度交渉してみます」

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Phase3そして、諦めきれない想いが壁を突き破った

競争入札は、チームプレーによるレースだ。提案する条件をまとめるためには、さまざまな部門の人たちの力を結集しなければならない。まだ入社2年目の若い自分を快くバックアップしてくれた多くの先輩社員たちの顔を思い浮かべると、Yはやすやすと引き下がるわけにはいかなかった。再び社内で打ち合わせを重ね、複数のスキームを組み合わせて顧客と荏原双方の希望条件に歩み寄る案をまとめ、新しい提案書を送付した。そして年明け早々、世間は正月気分が抜けきらぬ中、最終交渉のためにバンクーバーに降り立った。

緊張した面持ちで臨んだのだが、顧客との交渉は思いのほか円滑だった。これまで培ってきた荏原製作所の信頼がバックボーンとなったのだろう。いくつかの条件について白熱した議論になったものの、最終的には変更を加えた発注内示書にその場でサインをすることができた。

その夜、Yと上司、現地営業が顔をあわせ、市内のレストランでワイン片手にささやかな祝宴を開いた。翌朝、Yは、それまで眺める余裕もなかったバンクーバーの美しい街を、満ち足りた気持ちで歩いた。やがて荏原製作所の新しいポンプが稼働し、この都市のインフラを支えることになる。Yが所属する欧米営業グループは、北南米や欧州をはじめ世界の広い地域をフィールドとする。これからもYは、世界のさまざまな街でこんな濃密な経験を重ねていくのだろう。