テクノロジー&サービス

最先端テクノロジー&サービス

荏原の持続的成長を支える研究開発

 荏原では、EOIとEOLを両輪とした研究開発体制のもと、大学などの外部研究機関との連携をより一層拡げていくとともに、カンパニーなど事業部門の開発組織と協調して、荏原の内部でしかできない独自の研究開発を推進します。世界No.1を目指す流体・数値解析・材料・分析などの基盤技術をベースに、先進の手法や方法論を取り入れることによって、製品コア技術の一層の強化と将来技術の開発に取り組みます。

技術情報誌「エバラ時報」

 100年を超える伝統の中、新しいイノベーションや現行製品の研究・開発・改善をし続けています。 

 その研究開発の成果や技術動向の公開と同時に、製品・技術・サービスを分かりやすく解説し紹介しているのが技術情報誌「エバラ時報」です。

荏原のテクノロジー

製品・サービスを支えるテクノロジー

1. ポンプシステム技術

水撃解析

 ポンプの始動・停止などによる送水管路内の水の急激な流速変化は、管路内圧力の著しい上昇や低下を引き起こし、管路やポンプ、バルブなどの機器を破損させることがあります。この圧力変動を水撃現象と呼んでおり、解析により発生する圧力の大きさを予測するこ とができます。特に長距離パイプラインで水を送る場合には注意が必要で、送水施設の安全性確保のために必要に応じて圧力変動を軽減させる対策をとります。

ポンプ機場の流れ解析技術

 ポンプ機場の吸込水路や吸込水槽には、ポンプ本体にスムースに水を導くという役割があります。それらの形状が適切ではない場合は、偏った水の流れや空気を含んだ渦などが発生し、ポンプの運転に悪い影響を及ぼします。そのため流れ解析技術やモデル試験を使って、最適な流入経路形状の検討を行い、信頼性の高いポンプ機場の設計に役立てています。

2. 流体の最適化技術

ポンプなどの形状から水の流れを解析する流体解析は、理想的な流れの条件などからシ ミュレーションによってポンプ内部の流体形状を求める逆解法設計や、これらによる最 適化技術を用いて指定の条件の下で高効率高性能なポンプを設計しています。

高流速ポンプ

 荏原は、ポンプの吸込流速を従来の約2倍とした毎秒50 m3の排水能力をもつポンプなど、流れ解析や流体の最適化技術に基づく高流速化によるポンプの小型化を実現しました。また、高流速化に伴う吸込水槽での渦流対策や吸込水路の高流速化に おいても流れ解析などの技術が不可欠です。

RO膜法海水淡水化施設用高圧ポンプ

 RO膜法海水淡水化プラントや発電所など、長時間運転をする高圧ポンプには高効率な運転が求められます。3次元逆解法によってロスを生じない水の 流れを実現する羽根車の形状を設計するなど、高効率なポンプの設計には、流体の最適化技術は欠かせません。

低温液化ガス輸送用ポンプ

 LNGなどの低温液化ガスを輸送するポンプは、経済性の面からLNG貯蔵タンクなどから残らず液化ガスを吸い出す能力(吸込性能)が求められます。その運転の際に発生するキャビテーション現象(液体の蒸発現象)はポンプの吸込性能の低下や不安定な振動を引き起こすことがありますが、荏原ではキャビテーション流体解析や逆解法設計による最適化技術によって高い吸込性能で安定運転できるポンプを設計しています。

3. 材料技術

耐腐食技術

 海水淡水化施設や大量の冷却水を使用する発電所など、多くの施設で海水が利用されていますが、ポンプを構成する多くの金属材料は海水中で腐食する場合があります。海域によって異なる塩分濃度や温度、材料の種類や異種金属の接触、水の流れや流速差など、様々な腐食要因について、豊富な知見と経験を蓄積しています。材料選定やカソード防食、境界要素解析技術による腐食防食問題予測、二相ステンレス鋼製製缶ポンプの開発などによって、 ポンプでの海水の安定的な送水を可能にしています。

二相ステンレス鋼製製缶ポンプ

 荏原は、それまで溶接が難しく大型海水ポンプに使用されていなかった二相ステンレス鋼の溶接の弱点を、自社の溶接技術によって克服し、耐海水腐食性に優れた大型海水用ポンプとして、二相ステンレス鋼製製缶ポンプを開発しました。現在は、大量の海水を利用する様々な施設で活躍しています。

耐サンド・エロージョン技術

 ポンプの送水において、水に含まれている土砂が羽根車やポンプ内部の部材表面に繰り返し衝突することで、摩耗が発生します。荏原では、摩耗量の予測技術やセラミックス含有溶射被膜などの耐エロージョン技術によって、ポンプの安定稼動を可能にしています。

4. 構造強度・振動解析技術

構造強度解析

 高圧下など過酷な運転状態で使用するポンプ製品の強度や変形を適切に評価することは、製品の信頼性の確保と長寿命化を図る上で重要です。荏原では、高度な数値シミュレーション技術と実験技術を組み合わせ、総合的に製品の強度・変形を評価して、製品の高信頼性や長寿命化を実現しています。

振動解析

 ポンプ本体だけではなく、ポンプ上・下流の配管、さらにはポンプが設置されている建屋、 ポンプ機場構造物全体の振動・騒音を小さく保つ必要があります。荏原では、数値シミュレー ション技術と長年にわたり培われた計測・評価技術によって、ポンプ機場全体の振動・騒音を適切に評価し、安全・安定な運転状態を実現します。

騒音・振動対策設備

 確かな計測技術と、蓄積されたノウハウを基に原因を究明します。また、精度の高い対策後の騒音予測を行います。それによって、効果的な対策とエンジニアリングをご提供します。

5. 回転軸・軸受・シール技術

ロータダイナミクス技術

 高速回転するポンプを安全に運転するためには、軸の安定性を決定づける軸シール、軸受、羽根車など各要素の動的特性並びに各要素に働く流体力を正確に把握する必要があります。荏原は、磁気軸受技術を駆使した、世界的にも特徴のあるロータダイナミクステストスタンドを用い、高速回転時のポンプに発生しうる種々の軸振動モードにおいて軸シール、軸受、羽根車に働く流体力を計測します。本技術はJAXAのロケットポンプの回転安定性の評価のためにも導入されています。

インジェクションポンプ

 地球温暖化対策として注目されているCCSで、液化した二酸化炭素の地中への圧入装置として期待されているインジェクションポンプは、高圧下の過酷な条件でも安全・安定に運転するための軸受や酸性ガスを外部に漏らさないシール技術も重要になります。

6. ドライ真空ポンプの省エネ・省フットプリント

 ドライ真空ポンプは半導体・ディスプレイ製造工場、計測・分析機器、各研究機関などで使用されています。半導体・ディスプレイ製造工場では、ドライ真空ポンプは、ほぼ24時間365日連続で稼働しています。そのため、ポンプには排気性能向上だけでなく、消費電力削減などの省エネルギー化要求が高まっています。当社では、お客様のニーズに沿った省エネルギー化を実現した製品を開発・提供しています。

 また、半導体製造装置は空気中のホコリを減らしたクリーンルーム内に設置します。クリーンルームは、精密な空調を要求するため、広さに応じて高額な維持費用がかかります。そのため、ドライ真空ポンプの省フットプリント化(設置面積低減)は、重要な課題です。当社では、ポンプの高速回転による小型化と計装品のレイアウト改善などによって、省フットプリント化を実現しました。


※ 排気速度7000~10000L/minクラスでの比較
※ 棒グラフは消費電力、折れ線グラフはA70W型との比較

7. 半導体を支えるナノレベルの研磨技術

 半導体デバイスの高集積化には、半導体ウェーハ上の配線回路の微細化と多層化が不可欠ですが、これを支えているのが半導体ウェーハ表面の微細な凹凸を平坦化するCMP装置です。
 半導体デバイスは、専用装置によって絶縁材料や導電性材料等の薄膜をウェーハ上に形成し、それを微細な回路に加工することで実現しますが、その際回路の表面は凸凹になってしまいます。CMP装置はそれを高低差10~20nmの平坦な表面に加工します。これは、山手線の内側(平均直径約10km)の凹凸を0.5㎜に平坦化することに相当します。このような高精度な平坦化によって、微細な回路を10層以上に積層することができ、半導体デバイスの高集積化が実現されています。
 CMP装置は、樹脂製シートを貼り付けた回転テーブル上に、微細な砥粒と薬液の入った研磨液を流しながら自転するウェーハを押し付けて研磨します。荏原は、研磨後のウェーハを半導体のクリーンな製造環境に適合させるため、CMP装置内で研磨・洗浄・乾燥処理を行うドライイン・ドライアウトという方法を開発し、CMP装置をクリーンルーム内に設置することを可能にしたパイオニアです。


※ 高集積化:限られた面積の半導体デバイスの中に、多くのトランジスタや記憶素子を形成して、コンパクト化と高性能化を両立すること