水中ポンプの逆止弁は、ポンプの運転に伴い頻繁に開閉動作を繰り返すため、時として弁体の損傷を伴うトラブルが生じます。
弁体の強度や疲労特性については、これまで長時間を要する耐久試験に頼らざるを得ず、改良方法も形状を修正し、耐久試験で確認するといった方法を取ってきました。
逆止弁開閉時の流れパターン
弁体の運動と変形を考慮した流体-構造連成問題は、CFDとFEAの双方向連成を要すため、これまで研究的にも殆ど実施されてきませんでした。
しかし、近年の計算機性能の向上と、解析ソフトウエアの高機能化により、ようやくこの問題を扱えるレベルに達しつつあります。
ここでは、ハイエンドの構造解析ソフトウエアAbaqus※1と汎用流れ解析ソフトウエアStarCCM+※2を連携させて、水中ポンプ逆止弁の2Way-FSIを実施しました。
弁体が完全に閉鎖する瞬間と、開く瞬間に流れ解析が不安定化することが本計算を実施する上で障害となりました。
メッシュ品質の調整や、CFDとFEAの間でお互いの計算結果から境界条件を受け渡す際に工夫をすることで計算を実施することが出来ました。
本研究を通じて得られたFSI実施状のノウハウは、幅広い分野で応用可能です。
弁体の応力分布
※1 Abaqusは、ダッソー社のハイエンド構造解析ソフトウエアです。
※2 Star-CCM+は、シーメンス社の汎用CFDソフトウエアです。